千里に住む−大阪へ引っ越しました−

入居から1ヶ月が経ち、ゴールデンウィークも終わりかけ。久々に更新しようと思えば前に書いた記事から5ヶ月も経っている(!)街を見て、人と話して「いいな」と思ってばかりで文字にするのにはエネルギーが要るし、下書きが溜まっていくばかりでしたがやっと公開です。

千葉・東京で過ごしてきたこれまでと打って変わり、大阪に来ることにしました。もっと違う方面から地理学に打ち込めないかな、あわよくば自分の感覚も研ぎ澄ませたらと思って。大学のプログラムを活用して、半年だけ大阪の大学へ国内留学をしています。それに伴ってしばし移住することになったわけです。国内留学を決断したのは2020年12月。まさか、大阪に来るとは思いませんでした。

来た頃、大阪城の外堀は満開でありました。

初めて、家族から離れて引っ越ししました。

しかし驚くなかれ、期限はたった5ヶ月。そもそも大学4年の春。同時にやらなきゃいけないことの多さ。だからこそ、来る価値があるのかなと思います。コロナから逃げたはずが、東京圏より大阪の方が早くまた流行が来たので、授業は結局オンラインになったのでした…

最初の2週間は通学してました。

団地に住みたかった

かつて住んでいたこともありました、それも10年以上前のことです。なのに今更団地にこだわる理由は?

物心ついたときから、モダニズム建築に魅了され、コルビジェの西洋美術館や丹下健三の代々木体育館、坂倉準三の新宿駅西口など著名なものから、図書館や学校、郵便局や駅まで、あらゆる公共的施設に共通する建築の暗黙のルールがあるような気がしていました。

新宿駅西口は坂口準三による設計。歩行者は地下で全て乗り換えができ都庁にも勾配なく辿り着ける。また、タクシープールを地上から地下に回すことで、地下空間に光を取り入れられたり換気通風を行えるようにした。

そこに通底している概念は、最初は建築の世界で提唱されてきたものでしたが、生活の近代化のなかで、街全体にまで応用される概念になっていきます。より「効率の良い」「洗練された」「必要なものが最低限等しくそろっている」生活環境を目指して、高度成長前後に各地でつくられ始めました。

もともと、その建物そのもののかっこよさも理解できているつもりですが、それ以上に、規格化された・画一化された空間に身を置き、自分の場所としていく、その経験をしてみたかった。住居という、定住する上で生きる上で欠かせない設備について、できる限り洗練された状態から考えてみたかったのです。

東京 多摩ニュータウンの永山団地。中規模の棟である。畳の幅を基準に窓のサイズ、柵の大きさ、高さ、間取りが決められているのだろうか、リズミカルな外観が美しい。

団地は、1棟のなかにある部屋の間取りは基本的にすべて同じです。それが整然と並んでいる。

皆、置かれた環境は同じわけです。そこを、その人だけのプライベートな場所として利用しています。つまり利用の仕方には住んでいる人それぞれの個性がにじみ出ます。これが面白いのです。通路や階段などの共用部、ベランダ・扉といった外から見えるところに、その差異がみえる。

開発された経緯を想像すること、そこにある生活を想像することに楽しさを感じています。

とりわけ団地は、集合住宅という括りではマンションと変わらないように思えますが、計画や管理に公共がかなり関わっていたという点で特徴的です。全国にある団地のなかでも東京の多摩ニュータウンと大阪の千里ニュータウンは、誰しもが聞いたことのあるものでしょう。

関東の郊外から関西の郊外へ

この2つのニュータウンは並んで語られることが多いですし共通点が多いのも事実ではあります。が、実は以下の地図を見ただけても、そもそも中心都市との距離が異なることがわかります。入居開始(まちびらき)の年が10年近く千里ニュータウンのほうが早いのも興味深い違いです。

多摩ニュータウンと東京。googlemapに加工。
千里ニュータウンと大阪、神戸京都。googlemapに加工。

生まれ育った街が千葉県の柏市、まさに東京から30kmの街です。柏は、東京の成長に常に影響されつづけて、時には“反発”したことで成り立ってきた街であります。(これまでの柏に関する記事はメニューのARTICLEから読んでみてください。)都市で仕事をする、教育を受ける人々の寝床として機能してきたという意味ではかなり共通しています。

関東の郊外から関西の郊外へ。千里ニュータウンへ住んでみることは1つの目標、体験したいことでもありました。柏という関東の住宅都市で育った人間が、関西の住宅都市へやってきました。地理的な差異だけでなく、生活のなかに生じる差異に気づけるのかも…しれません。そして、初めて、外から柏を相対化して観れるきっかけにもなるでしょう…

特に高校時代利用した柏駅東口。

初めて来たとき(といっても2020年の秋)から、この街にはビビビッと来てました。駅から商業施設、住宅、公園、学校に至るまでの道のり、車と歩行者の分離。綿密に、当時計画された街を、理論からも感覚からも、それもまた住む人として体感できるのはありがたいことです。

千里中央駅直結の商業施設、せんちゅうパル。

そういう環境で生活できる、またとない機会を得ました。

一人の住民として、生活の工夫や悩み、気づきを少しでもお伝えするべく、定期的に更新できたらと思います。

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