柏という街の交通事情
東京都心部から約30km。そして千葉県。私が住むこの街の特徴を、現在の市内の交通を軸にお伝えしようと思います。
人口は2020年5月1日現在、43万1953人です(住民基本台帳人口)。千葉県北西部のいわゆる東葛地区の真ん中にある自治体で、東葛地区のなかでも松戸市,我孫子市,野田市,流山市そして柏市の人口を合計しただけで135万人が居住しています。幻に近いですが、政令指定都市にしようという構想(東葛市構想)というのもあったり。
地元の人は東葛(とうかつ)地区と呼ぶ人が多いのでしょうか、略さずに言うと東葛飾(ひがしかつしか)という地名です。東京じゃない?と誤解されることも多いですが(たしかに東京都葛飾区は近接していますが)千葉県です。なぜ千葉県で“葛飾”の字が入るのか。
(今は江戸川が千葉と東京・埼玉の県境を分断していますが、もともとこの川を挟んだ一帯が葛飾郡と呼ばれる地域でした。鎌倉時代ごろから、川の右岸左岸で地区を分けて認識していた人たちもいたようですが、正式に葛飾郡が分断され5つになったのは1878年のことです。そのうちの一つが今の千葉県東葛地区(旧東葛飾郡)ということになります。また中世近世の話は別の機会にしましょう。)
市の北側を利根川がかすめていて、川を超えた先は茨城県になります。県庁所在地である千葉市は喉元くらいの場所で、車で柏から行こうとすると30kmほどの距離。東京とほとんど距離が変わりません。
交通に着目してみます。下の地図には、交通網に着目して市域を通る鉄道と一般道,高速道を書き込んでみました。
黄色く示したのが、市内の事情を把握するのに重要な3つの道路です。高速道路である常磐道と、国道6号,16号です。国道6号は常磐線と並行して福島,宮城へ繋がる、片側3車線の幹線道路。そこに、市内のほぼ真ん中、呼塚交差点で国道16号と直交します。ラジオで関東の交通情報を聴いていればよく耳にするでしょう…
市域の南北ちょうど中間点に柏駅があります。柏駅にはJR常磐線と東武野田線が乗り入れており、JRは上野から松戸柏を通って我孫子,土浦,水戸,いわき,仙台とつながっております。常磐(じょうばん・ときわ)という名称は、「常陸(ひたち)」と「磐城(いわき)」という旧国名をとった地域名ですね。
一方で東武野田線は(アーバンパークラインとも呼ばれ…?)南は船橋へ、北へは野田を経由して春日部,大宮までを結んでいます。
柏駅前の構造を見てみましょう、下の地図を見てください。西口には百貨店「柏髙島屋」が大きく構え、駅前から放射状に道路が広がっています。300mほどで国道6号にぶつかり、雰囲気が変わるので広いわけではありません。
髙島屋は大きく3棟に分かれていて、ステーションモールと呼ばれる一番大きな建物の1階が東武野田線の柏駅になっています。百貨店と駅をくっつけるのは東武が得意なところですよね。
西口は大きなペデストリアンデッキ(日本で最初らしい)を駅前広場にして囲うようにそごう、スカイプラザ(主にビックカメラ)、マルイが立ち並びます。1970年代に駅前の再開発がありましてそのときに続々と開店しました。
そして常磐線の北には、2005年に新規開業したTX(つくばエクスプレス)が走っています。柏市内から都内への通勤客は常磐線かTXに二分されるということになります。なのに混雑するんですね、人口も増えていますし。
柏市内には2駅ありますが特に柏の葉キャンパス駅周辺は三井不動産グループを中心に開発され、15年くらいで景色が様変わりしました。ここ5年くらいで別の資本も参入してきて、面白い発展のしかたをしていますよ。
柏の葉キャンパスという名前からも想像される通り、大学のキャンパスが存在します。東京大学と千葉大学です。ニュートリノの研究でノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章先生は、この柏の葉にある東京大学宇宙線研究所に所属されています。
最初の地図で見てもらったように、柏市は千葉県の北西部という、東京・埼玉・茨城に挟まれた地域です。県境である利根川と江戸川を超えて、その周辺地域との交流も多いのが特徴だったりします。というわけですこし広域で主要交通を見てみます、下の模式図を見てください。
黄色が道路、灰色で示したのが鉄道です。東京方面へ向かうのは国道6号,常磐道,常磐線,TXの4つ。左下が、それぞれの交通機関の拠点となる東京の地名です。それぞれ、柏市内の駅や交差点を起点に東京までの距離を示しています。だいたい30km弱で東京へアクセスできることがわかると思います。これらの交通が、特に鉄道は東京への通勤路線として機能しているんですね。
常磐線沿線には、柏のひとつ東京寄りに松戸駅があり、柏駅からだいたい10km、つまり東京から20kmの距離です。松戸と柏の比較はありとあらゆる分野でされていますが、街の性格,役割が変わってきます。
街の性格を規定するという意味で注目して欲しいのは、国道16号という大環状線です。柏市を北西-南東方向に割るようにして貫通しています。
国道16号は全長300kmを超える、片側2,3車線の大環状線です。鉄道だと、京葉・武蔵野・南武線を東京メガループとか言ったりしますがそれよりも外側を走ります。地図に示した白い円が東京を中心にした30km圏ですので、だいたいそのまわりを走っていることになります。
横浜市内を起終点にして、時計回りに町田,八王子,入間,川越,大宮,春日部,野田と回って柏を通り、八千代,千葉,木更津,富津、海を超えて横須賀まで、ありとあらゆる街をぐるっと一周。沿線にはいわゆるベッドタウンが広がります。田畑がチラチラと見える一方で、東京へ通勤する子育て世代が、都心よりも地価が安く通勤もできる距離を志向して…そうするとだいたいこの30km圏という距離に住宅街が広がります。目安として使えますね。
16号沿線に住んでいる私は、この道路が環状だという意識は高校生までほぼありませんでした。住んでいる人にとっては「渡るのに信号待ちが長い道路」だとか「ショッピングセンターに買い物に行くのに使う道路」みたいな感覚だったりします。16号沿線に住んでいる方が読んでくださっているとしたら、その方もきっと家から車を走らせても、走って10kmくらいといった程度の利用ではないでしょうか。
R6,R16が交わるまち、柏
そう考えると柏は、16号と6号が交わる“交通の要衝”でもあります。改めてこの地図を見てください。
呼塚交差点を0kmとすると、北は庄和ICまで23.7km、南は小室ICまで12.7km、千葉市の穴川ICまで31.5kmの距離です。どれもICと名が付いていますが、各地点で交わる道路は法令上の一般道。バイパスと呼ばれる信号の少ない道路なんですね。庄和ICからは4号のバイパスを使って東北方面へ快適に向かうことができます。小室ICからは千葉ニュータウンを突っ切るヨンロクヨンで成田市内まで信号は2回(たしか)、穴川ICからは実質京葉道路と東関東道にアクセスできます。
東京を軸に各地方へアクセスできる高規格な道路が、東京首部を通らずに行けるわけです。その交点上に柏はある。その構造が、市内の宅地開発やショッピングセンターの立地など、生活に近いところまで影響していたりします。
また詳しくお話ししましょう。
[…] 以前、柏という街の交通事情という記事で、柏は国道6号と16号の交点にあることをお話ししました。(そちらの記事を読んでからこれを読むことをお勧めします。) […]
[…] 以前、柏という街の交通事情という記事で、柏は国道6号と16号の交点にあることをお話ししました。(そちらの記事を読んでからこれを読むことをお勧めします。) […]